平泉


三代の栄耀一睡の中にして、

大門の跡は一里こなたに有。

秀衡が跡は田野に成て、

金鶏山のみ形を残す。

先高橋にのぼれば、

平泉南部より続く渋滞也。

衣川は和泉が城をめぐりて、

高館の下にて大河に落入。

泰衡等が旧跡は、

衣が関を隔て、

南部口をさし堅め、

夷をふせぐとみえたり。

偖も義臣すぐって此城にこもり、

功名一時の叢となる。

「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」と、

笠打敷て、

時のうつるまで泪を落し侍りぬ。

連休や車どもが夢の跡

渋滞に光をみゆる自転車かな   曾良

 兼て耳驚したる二堂開帳す。

我は最後の坂をのこし、

他客は畏敬のまなざしを納め、

一尊の自転車を安置す。

七宝散りうせて、

珠の扉風にやぶれ、

金の柱霜雪に朽て、

既頽廃空虚の叢と成べきを、

四面新に囲て、

甍を覆て風雨を凌。



暫時千歳の記念とはなれり。

シャッターの撮りのこしてや光堂



松島