序文


連休
は百代の過客にして、

行きかふ年も又旅人也。

八木山の上に生涯を浮べ、

ブレーキとらえて老をむかふる者は、

日々山にして山を栖とす。

古人も多く八木山橋に死せるあり。

予もいづれの年よりか、

片雲の風にさそはれて、

漂泊のおもひやまず、

海浜にさすらへて、

今年の春山上の破屋に、

蜘蛛の古巣をはらひて、

やや誕生日も暮、

春立る霞の空に、

一の関こえんと、

そヾろ神の物につきて心をくるはせ、

道祖神のまねきにあひて

取もの手につかず、

もゝ引の破をつヾり、

ライトの電池付かえて、

三里に灸すゆるより、

松島の月先心にかゝりて、

住る方は人に頼み、

友人が実家に移るに、

八木の戸も 住み替る世ぞ 皆の家

表鍵を庵の戸に掛けておく。

仙台